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2026-01
赤ちゃん由来の乳酸菌「KT-11」と"健康を守るチカラ"をやさしく解説
こんにちは、株式会社キティーです。
今回は当社が扱う乳酸菌「クリスパタス菌KT-11(以下、KT-11)」を例に、「乳酸菌と健康」の関係をできるだけやさしく解説できればと思います。
「乳酸菌が体に良いらしいのは知っているけれど、実際何をしているの?」という疑問をお持ちの方に、少しでもイメージを持っていただけたらと思います。
1. そもそも乳酸菌って何をしているの?
乳酸菌は、糖を分解して「乳酸」をつくることで、腸の中を弱い酸性に保つ働きがあります。
この酸性の環境は、いわゆる「悪玉菌」が増えにくい状態をつくり、腸内フローラ(腸内細菌のバランス)を整えるのに役立つと考えられています。
最近の研究では、乳酸菌が腸の免疫細胞に働きかけて、体の防御システムをサポートする可能性も報告されています。
「腸は最大の免疫器官」とも言われますが、その最前線で、乳酸菌を含むさまざまな菌たちが私たちの体を守るために働いている、というイメージになります。
2. キティーの乳酸菌「KT-11」とは?
KT-11は、「Lactobacillus crispatus(クリスパタス菌)」という種類の乳酸菌で、乳幼児の腸内から見いだされた菌株です。
この乳酸菌は、お母さんの産道から赤ちゃんへと受け継がれる菌として知られており、「人のはじまりの段階で関わっている乳酸菌」という点が特徴だと私たちは考えています。
私たちは、このKT-11を殺菌(加熱処理)後に粉末にして、サプリメントや健康食品に使いやすい原料として提供しています。
乳酸菌は殺菌(加熱処理)されていても、細胞の構造などを通じて免疫系にはたらきかける可能性があるとされています。
3. 乳酸菌と「免疫」「アレルギー」の研究の一端
乳酸菌は、腸の免疫細胞に刺激を与え、体の中の「攻める力」と「守る力」のバランスをとる役割を担っていると考えられています。
一部の乳酸菌では、アレルギー症状の軽減や感染症リスクの低下などに関わる可能性が、ヒト試験で報告されています。
KT-11についても、アレルギーに関する研究や、口腔内環境に関する研究をこれまでに行っており、オーラルケアに対応することを目的に活用が進んでいます。
たとえば、口腔内の特定の菌のバランスに働きかけ、お口の中の環境を整えることを期待して、サプリメントやタブレットなどに添加して利用されています。
※ここまでのお話について:乳酸菌の研究は日々進歩しており、あくまで現時点の「可能性」としてご紹介をいたしました。
4. 毎日の生活で意識したい「乳酸菌との付き合い方」
乳酸菌は、ヨーグルトや発酵食品などから日常的にとることができる身近な存在です。
加えて、最近では「特定の乳酸菌を狙ってとる」サプリメントや飲料も増えており、自分の生活スタイルや体調に合わせて選びやすくなってきています。
大切なのは、「これさえ飲めば大丈夫」と考えるのではなく、バランスのよい食事や睡眠、適度な運動といった生活習慣の一部として、乳酸菌を上手に取り入れていくことだと感じています。
当社のKT-11も、その一つの選択肢として、お客さまの商品を通して皆さまの健康づくりに貢献できれば、と日々研究を続けています。
5. おわりに ― 社内から見た「乳酸菌原料」のおもしろさ
キティーでは乳酸菌だけでなく、「お肉や魚をやわらかく、おいしく仕上げる調味料・酵素製剤」、「お米をふっくらやわらかに炊き上げて食感も長持ちさせる炊飯用の酵素製剤」など、食にかかわる商品をご提供しています。
そこから派生する形で、「食」を通じて健康に貢献できる乳酸菌やビフィズス菌などの機能性原料の開発にも取り組んできました。
乳酸菌の世界は、一見シンプルに見えますが、菌種・菌株によって性質がまったく違い、研究を続けるほど新しい発見があります。
今後も、社内で得られた知見や現場での気づきや学術情報を、専門用語をかみ砕きながら、ブログを通じて少しずつお伝えしていければと思います。
ここまでお読みいただき、ありがとうございました。
KT-11やその他の乳酸菌原料についてご興味をお持ちの方は、ぜひ当社サイトのお問い合わせフォームからお気軽にご連絡ください。
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2022-08
クリスパタス菌KT-11の活性成分のひとつ「SLP」のこぼれ話~その3~
こんにちは、KT-11研究員です。
これまでクリスパタス菌KT-11の免疫活性成分について、これまでの研究の取組みを回想してきました。
クリスパタス菌KT-11の活性成分のひとつ「SLP」のこぼれ話~その2~ - 新ブログ - BLOG - KITII|株式会社キティー
今回3回目が最後となります。
前回ではクリスパタス菌KT-11の持つSLPという成分が、免疫活性成分の1つだったことを説明しました。一般的に、乳酸菌の免疫活性成分が特定の配列を有するDNAやRNA断片であることが多い中で、クリスパタス菌KT-11が持つSLPが免疫活性成分とした我々の報告は異質だったかもしれません。
ところで、このクリスパタス菌KT-11のSLPは免疫活性成分として働く以外に、ロタウイルスによる感染防御機能を有することをご存じでしょうか。
この知見は、信州大学農学部の河原岳志准教授との共同研究で得られた成果の一つで、Frontiers in Microbiology誌に掲載されています。
Lactobacillus crispatus Strain KT-11 S-Layer Protein Inhibits Rotavirus Infection (nih.gov)
この研究は、クリスパタス菌KT-11由来のSLPをヒト結腸癌由来細胞に振りかけておくと、ロタウイルスによる感染を防ぐというものです。
さらに、クリスパタス菌KT-11由来のSLPを人工的に調製した胃液で暴露すると、その作用は消失するという特徴も見出しました。
出典:Lactobacillus crispatus Strain KT-11 S-Layer Protein Inhibits Rotavirus Infection - PubMed (nih.gov)
つまり、クリスパタス菌KT-11を経口的に摂取すると、胃液に含まれる消化酵素の暴露によって抗ロタウイルス作用が消失してしまう可能性が高いことが分かったわけです。
それでは、なぜクリスパタス菌KT-11は、このような意味のない抗ロタウイルス作用を持っていたのか、大変興味が惹かれるところです。
ロタウイルス感染症のほとんどは赤ちゃんにだけみられ、成人になるとほとんど感染しないことが分かっています。さらに、赤ちゃんの胃液の消化酵素は、成人と比較しても非常に少ないことが報告されています。
クリスパタス菌KT-11は、出産の過程で母親の産道から、母子間伝播によって赤ちゃんに受け継がれると考えられてきました。この時、大人であれば容易に胃液で分解されてしまうであろうSLPも、胃液の分泌が未熟である赤ちゃんであれば容易に胃を通過できることが分かったのです。
つまり、赤ちゃんだけに感染するウイルスに対して、クリスパタス菌KT-11はピンポイントで感染を抑制すると考えられるのです。
クリスパタス菌KT-11がなぜ、母親から子へと受け継がれるのか、その理由を紐解く上でも大変興味深い知見になりました。
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2022-08
クリスパタス菌KT-11の活性成分のひとつ「SLP」のこぼれ話~その2~
こんにちは、KT-11研究員です。
前回のブログでは、クリスパタス菌KT-11の活性成分について書きました。
クリスパタス菌KT-11の活性成分のひとつ「SLP」のこぼれ話~その1~ - 新ブログ - BLOG - KITII|株式会社キティー
今回もその続きを書きます。
★前回のポイント★
①クリスパタス菌KT-11は培養することで菌体同士が凝集すること。
②クリスパタス菌KT-11の凝集性はSLPによるもので、ほかの乳酸菌と比べてSLPの量が多い、もしくは特徴が異なるのでは、と推察。
この段階では、クリスパタス菌KT-11の免疫活性がSLPに起因するという確証はありませんでした。事実としては、ほかの乳酸菌よりも免疫活性が強いということのみ。。
そのような中で、2008年にイタリアの研究グループが発表した、乳酸菌の持つSLPがT細胞と樹状細胞の免疫系を調節するという論文を見つけました。
もともとLactobacillus acidophillusとクリスパタス菌(Lactobacillus crispatus)は近縁種の乳酸菌だったため、この論文がクリスパタス菌KT-11の免疫活性成分はSLPではないかと考え始めたきっかけとなりました。
一方、2000~2010年代の国内の学会では、乳酸菌のプロバイオティクスに関する研究が活発に行われていました。とりわけ、乳酸菌の腸管定着性については、乳酸菌のもつSLPが腸管ムチンの糖鎖を認識して結合することが重要であることが分かっていました。
ところが、ある研究者が乳酸菌をリン酸緩衝液でリンスすると、その結合性が低下することを話していました。乳酸菌が持つはSLPは、塩やキレート剤で容易に菌体から剥がれ落ちることも経験的に知られていましたので、クリスパタス菌KT-11の免疫活性成分がSLPであるならば、塩で洗うと活性は消失するのでは?と考えたわけです。
実際にその実験が以下のデータです。
出典:一部改変
尿素やグアニジン塩酸塩で洗浄したクリスパタス菌KT-11は、無処理のクリスパタス菌KT-11と比較して、マクロファージによるIL-12産生を低下させることが分かったのです。
すなわち、クリスパタス菌KT-11のSLPが、その免疫活性に大きく影響していることを示唆するものとなったわけです。
その後、クリスパタス菌KT-11のSLPが、マクロファージに発現するトール様受容体に結合することを突き止め、アメリカの学術誌「Journal of Food Biochemistory誌」に論文が掲載されたことは記憶に新しいところです。
つづく