18
2026-06
微生物ごとに得意な発酵の違い①
いつもキティーブログをご覧いただきありがとうございます。
先日、富士スピードウェイで開催されたスーパー耐久シリーズ2026の第3戦 富士24時間レースを観戦してきました。
日本国内で開催される唯一の24時間耐久レースで、市販車ベースのマシンの11クラス60台以上が同時に昼夜を問わず走り続けるイベントです。レースは土曜の15時から日曜の15時まで夜間も含めてマシンが走行し、ル・マン、スパ・フランコルシャン、デイトナに次ぐ世界で4番目に長い歴史を持つそうです。最も早いクラスは24時間でコースを800周弱走行し続けます。
今年は金曜の予選も含めた3日間で約6万5千人が観戦したようで、夜間や通しで観戦する場合は、コース周辺の駐車場や芝生でテントや車中泊しながら、応援しており、私の居住地域が近い?こともあり、入場料が無料になるチラシが入るため、ここ数年足を運んでいます。
乳酸菌 ― 発酵の土台をつくる存在(酸で守り、整える発酵)
さて、少し間が空いてしまいましたが、前回は、発酵を支える主役として「酵素」の働きについてご紹介しました。酵素が食品中の成分を分解・変換することで、発酵食品ならではのおいしさが生まれる、という内容でした。
今回はそこから一歩進めて、微生物ごとに得意な発酵の違いについて、数回に分けて整理していきたいと思います。
1月7日ブログで、簡単な表にまとめてご紹介を致しましたが、、、
改めて、第1回目は発酵食品の中でも特に身近な存在である「乳酸菌」です。
乳酸菌は、糖を分解して乳酸を作り出す微生物です。
この乳酸によって食品のpHが下がり、腐敗菌の増殖が抑えられるため、保存性が高まります。
ヨーグルト、漬物、キムチ、ぬか漬けなど、多くの発酵食品で活躍しているのが乳酸菌です。
特徴は、酸味を生み出すことと、環境を整えること。ほかの微生物が働きやすい土台を作る役割も担っています。
乳酸菌が先に増殖して乳酸を作ることで、
pHが下がる
腐敗菌の増殖が抑えられる
他の微生物が安定して働ける環境が整う
といった変化が起こります。
つまり乳酸菌は、
発酵の最前線で働く"守り役"であり、調整役とも言える存在です。
乳酸菌があるからこそ次の発酵が進む
味噌や醤油、日本酒などの発酵食品では、
乳酸菌だけでなく、酵母や麹菌といった他の微生物も関わっています。
その中で乳酸菌は、
「まず環境を整え、その後の微生物にバトンを渡す」
という役割を担っています。
発酵が一種類の微生物だけで完結しない理由は、
それぞれの微生物に得意分野と役割分担があるからです。
乳酸菌の発酵は、発酵食品の「安全性」と「さっぱりした味わい」を支える重要な存在とも言えます。
次回は、香りとアルコールを生み出す「酵母」についてご紹介します。
27
2026-04
発酵を支える主役「酵素」の働き
いつもキティーブログをご覧いただきありがとうございます。
先々週は、ファベックス、ならびに健食原料OEM展にお越しいただきまして、誠にありがとうございました。
いつもお世話になっている皆様、また新たにご提案の機会をいただいた方々には、心より感謝申し上げます。
引き続き、当社がお役に立てることをご提供していく所存です。
早いもので、桜も終わり、藤が見頃を迎えてきていますね。昨日は、友人の畑で取れた新タマネギをいただきましたので、早速スライスしてみました。写真だけ見ても涙出そう(笑)。
さて、これまで発酵とは何か、どのような条件で進むのかについてご紹介してきましたが、その中で欠かせない存在が「酵素」です。
最近、社内で酵素に関する勉強会に参加する機会もありました。
改めて話を聞いてみると、発酵においても酵素が果たす役割の大きさを再認識しましたので、今回は発酵を支える「酵素」の働きについて、少し深掘りしてみたいと思います。
酵素とは何か?
酵素とは、一言で言うと、化学反応を助け、効率よく進めるための触媒のような存在です。
発酵食品では、微生物そのものだけでなく、微生物が作り出す酵素が食品中の成分に作用することで、大きな変化が起こります。
重要なのは、「微生物が働いている=微生物がずっと増殖している」というわけではなく、酵素が反応を進めている時間が非常に長いという点です。
微生物と酵素の関係
発酵の現場では、次のような流れが起きています。
- 微生物が増殖する
- 微生物が酵素を作り出す
- 酵素が食材中の成分を分解・変換する
つまり、発酵の「変化の主役」は、実は酵素であることが多いと言えます。
微生物が減少した後も、酵素が残って反応を続けるため、長期熟成食品では時間をかけて旨味や香りが増していきます。
発酵で活躍する代表的な酵素
【アミラーゼ】
デンプンを糖に分解する酵素です。
米や麦を原料とする日本酒や味噌、甘酒などで重要な役割を果たします。
【プロテアーゼ】
タンパク質をアミノ酸に分解する酵素です。
味噌、醤油、魚醤、へしこなどで「旨味」を生み出す要因になります。
【リパーゼ】
脂質を分解し、香り成分の生成に関与します。
チーズや一部の発酵食品で、独特の風味を形成します。
これらの酵素が複合的に働くことで、発酵食品ならではの奥行きのある味わいが生まれます。
なぜ時間をかけると美味しくなるのか
発酵食品でよく聞く「時間をかけるほど旨味が増す」という現象も、酵素の働きが大きく関係しています。
・ゆっくり反応が進む
・アミノ酸や糖が少しずつ増える
・刺激の少ない、調和の取れた味になる
急激な反応ではなく、穏やかで持続的な酵素反応こそが、発酵食品の特徴と言えます。
発酵条件と酵素の関係
ここで、以前ご紹介した発酵の条件ともつながってきます。
・温度
・pH
・塩分
・水分
これらの条件は、微生物だけでなく酵素の働きやすさにも大きく影響します。
適切な条件を整えることで、狙った反応を安定して引き出すことが可能になります。
発酵と当社の取り組み
当社では、微生物から取り出したプロテアーゼ等を活用した軟化調味料や、アミラーゼ等を活用した炊飯製剤など、酵素の特性を活かした製品を取り扱っています。
酵素の働きを理解することで、食品の品質向上、食感改善、旨味の引き出し方など、さまざまな応用につながっていきます。
今後も発酵と酵素の可能性を、実務の視点から探っていきたいと考えています。
次回は、
「微生物ごとに得意な発酵の違い」や
「複合発酵の面白さ」などにも触れられればと思います。
どうぞお楽しみに。
05
2026-03
基礎的な発酵のメカニズム──微生物がつくる"おいしさ"の正体
いつもキティーブログをご覧いただきありがとうございます。
先日の三連休、神奈川県海老名市にある泉橋酒造で蔵開きに参加してきました。申し込みは毎年12月ごろにあり、即日Sold-Outしてしまう人気のイベントで、昨年も一緒に参加した友人に予約していただきました。
9種も試飲ができ、500円チケットもいただけるので、日本酒のアテになるおつまみも選べ、みんなでワイワイと楽しんできました。日本酒づくりの工程も発酵そのものなので、蔵開きに参加すると改めて「発酵の奥深さ」を実感しました。
さて、前回は福井県の郷土料理「へしこ」を取り上げ、発酵食品の奥深さについてご紹介しました。今回は、その続きを踏まえて 基礎的な発酵のメカニズムに触れたいと思います。
「発酵は知っているけれど、具体的にどういう仕組みなの?」
そんな疑問をお持ちの方に向けて、できるだけわかりやすく整理してみました。
発酵とは何か?
改めて、発酵とは、微生物が食材中の糖・タンパク質・脂質などを分解し、別の物質へと変化させるプロセスになります。
その過程で、酸味・甘味・旨味・香り・色などが大きく変化し、食品としての価値を高めることができます。
火を使う前から人類が利用してきた技術であり、「保存」と「おいしさ」を同時に叶える先人の知恵そのものと言えます。
発酵に影響する4つの要素
発酵がうまく進むかどうかは、主に以下の4つの要素によって決まります。
① 温度 ― 微生物の活動スピードを左右する
微生物にはそれぞれ「最も活動が活発になる温度帯」があります。
・乳酸菌:30〜40℃
・酵母:25〜30℃
・麹菌:30〜35℃
温度が高すぎると死滅し、低すぎると活動が弱まるため、食品ごとに適切な温度管理が欠かせません。味噌や日本酒づくりなどでは、温度管理が品質を左右すると言われるほど重要です。
② pH((酸性か中性かを示す指標) ― 微生物の住みやすさに直結
微生物ごとに、好む酸性度が異なります。
・乳酸菌:酸性に強い
・酵母:弱酸性を好む
・腐敗菌:中性付近で増えやすい
発酵食品が腐りにくいのは、微生物が作り出す酸(乳酸など)によって pHが下がり、腐敗菌が増えにくくなるためです。
③ 酸素 ― 必要な微生物と不要な微生物がいる
・酢酸菌 → 酸素が必要(好気性)
・乳酸菌 → 酸素が無くても発酵できる(嫌気性)
・酵母 → 種類によるが、基本は酸素がなくても発酵可
この違いが、食品の作り方(密閉するのか、空気に触れさせるのか)にも影響しています。
④ 栄養源 ― 微生物が"食べるもの"
微生物は主に以下を分解します。
・糖 → アルコール・乳酸・香り成分
・タンパク質 → アミノ酸(旨味)
・脂質 → 香り成分
へしこや味噌のような「長期熟成食品」で旨味が増すのは、微生物や酵素がゆっくり働くことで アミノ酸がたくさん生成されるからです。
発酵と腐敗の違いは?
「発酵と腐敗って何が違うのか」説明することはできるでしょうか?
結論は微生物の働きによって、人にとって"有益か有害か"で判断されるということ。
・発酵:有益な微生物が働き、美味しさや栄養価が増す
・腐敗:有害な微生物が増え、悪臭や毒素が発生する
どちらも「微生物が働いている」という点は同じですが、
発酵が進む環境では腐敗菌が増えにくいため、安全で美味しい食品が生まれます。
まとめ
発酵は、
「温度」「pH」「酸素」「栄養源」の4つの条件のバランスによって生まれる、微生物の力の結晶です。
微生物の特性を知ることで、発酵食品がなぜ美味しく、安全で、体に良いのかがよく理解できます。また、当社でも発酵技術を活用した原料・製剤を扱っており、商品開発に役立てております。
次回は、さらに発酵を深掘りしていければと思っておりますので、お楽しみに!