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2026-08
微生物ごとに得意な発酵の違い③
麹菌 ― 日本の発酵文化を支える司令塔
いつもキティーブログをご覧いただきありがとうございます。
毎日暑い日が続いていますが、皆様いかがお過ごしでしょうか。
先日、知人たちと町田で開催されている大江戸ビール祭り2026に行く機会がありました。
https://oedo-beer-festival.jp/
冷たいビールを飲みながら夏らしいひとときを過ごしましたが、ビールもまた酵母の働きによって生まれる発酵食品の一つです。シーズン1は終わってしまいましたが、シーズン2が明日から始まるので、機会があれば足を運んでみてはいかがでしょうか。
また、先日は台湾へ出張する機会もあり、現地でさまざまな台湾料理をいただきました。醤油や発酵大豆、米酒など、日本人にもなじみのある発酵食品や発酵調味料が多く使われており、改めてアジアにおける発酵文化の奥深さを感じました。
発酵に関わる微生物は世界中に存在しますが、日本の発酵文化を語るうえで欠かせない微生物があります。
それが今回ご紹介する
「麹菌(こうじきん)」
です。
麹菌とはどんな微生物か
麹菌はカビの一種で、
- Aspergillus oryzae(黄麹菌)
- Aspergillus sojae
などが代表的です。
「カビ」と聞くと少し驚かれるかもしれませんが、麹菌は古くから人の生活に利用されてきた有用微生物です。
2006年には、日本醸造学会によって
「国菌(こっきん)」
に認定されるほど、日本の食文化を支える重要な存在となっています。
麹菌の得意技は「酵素をつくること」
前回、酵素についてご紹介しましたが、その酵素を大量に生み出している代表格が麹菌です。
麹菌はさまざまな酵素を作り出します。
アミラーゼ
デンプンを糖に分解する酵素です。
米や麦のデンプンを糖に変えることで、後に酵母がアルコール発酵できる状態を作ります。
プロテアーゼ
タンパク質をアミノ酸に分解する酵素です。
味噌や醤油の旨味のもととなるアミノ酸を生み出します。
リパーゼ
脂質を分解する酵素です。
香りや風味の形成に関わっています。
麹菌は発酵の下準備をする
乳酸菌は環境を整え、
酵母は香りやアルコールを作り出します。
一方、麹菌は
「食材を微生物が利用しやすい状態へ変える」
という役割を担っています。
例えば、お米の主成分であるデンプンをそのまま酵母が利用することはできません。
そこで麹菌がデンプンを糖に分解し、酵母が利用できるようにします。
つまり麹菌は、
発酵のスタート地点を作る微生物とも言えるのです。
世界でも珍しい日本の発酵文化
実は麹菌を利用した発酵文化は世界的に見ても非常に珍しいものです。
味噌、醤油、日本酒、みりん、甘酒など、日本の発酵食品の多くに麹菌が関わっています。
和食の旨味文化を支えているのも麹菌の働きです。
もし麹菌が存在しなければ、
現在の日本食はまったく違うものになっていたかもしれません。
発酵は微生物のリレー
ここまでご紹介した微生物を整理すると、
乳酸菌
- 発酵環境を整える
- 腐敗菌を抑える
酵母
- アルコールを作る
- 香りを作る
麹菌
- 酵素を作る
- 原料を分解する
それぞれが得意分野を持ち、バトンを渡しながら発酵を進めています。
発酵は一種類の微生物だけで成り立つのではなく、
微生物たちのチームプレー
によって支えられているのです。
まとめ
麹菌は、
「酵素を生み出し、発酵のスタートを支える司令塔」
とも言える微生物です。
乳酸菌が環境を整え、酵母が香りやアルコールを生み出す一方で、麹菌はその土台となる原料の分解を担っています。
日本の発酵文化に欠かせない存在であり、まさに和食を支える縁の下の力持ちと言えるでしょう。
次回は、お酢づくりに欠かせない
「酢酸菌」
についてご紹介したいと思います。
どうぞお楽しみに。
